しがない地方公務員のメモ帳

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zoom RSS 「内部告発と公益通報」読了

<<   作成日時 : 2007/10/10 00:30   >>

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中公新書の「内部告発と公益通報 会社のためか、社会のためか」を読み終わりました。

公益通報者保護法が平成18年4月に施行されてから1年以上たった今ごろに読み終わっているわけで(笑)

行政における取り組みについては「進む公益通報制度の整備」などでちょこっと取り上げたりしているところで、個人的にも興味を持っている分野ですので本書を手に取った次第(でも既に出版から1年以上経ってるわけですがw)

本書の内容は、帯によれば「告発者の心理、会社による報復、社会への影響、内部告発のメカニズムを解明し、4月施行の公益通報者保護法を解説」ということです。

本書では、「内部告発と公益通報とはどこが同じでどこが違うのか、さらには以前からある密告という行為とはどのような関係にあるのか」(はしがきi)
公益性の追求という大義が服務規律違反行為等をどこまで許容するのか」(はしがきii)
といった問題の整理が主に行われています。

で、そういえば、公益通報者保護法でちょっと気になっているのが、同法では、同法と公益通報者保護法別表第八号の法律を定める政令(平成十七年政令第百四十六号)に定める犯罪行為や法令違反行為が通報対象事実とされている訳ですが、当然ながら条例違反行為は通報対象事実に含まれていません。

まあ、条例違反行為に係る公益通報者保護は、条例でやれということかも知れませんが、いかんせん、いくら条例で解雇無効、不利益取扱いの禁止をうたっても、当該自治体区域外に主たる事務所が所在する企業に対しては、その条例の効力は及ばないのではないでしょうか?

そうなると、当該自治体内に主たる事務所がある企業だけが対象となるわけですが、それでは、当該自治体区域内で生じた条例違反行為の公益通報者であっても、本社の所在地によって保護される通報者と保護されない通報者が生じてしまうような気がするのですが・・・。

なので、地方分権改革推進委員会における「地方分権改革推進にあたっての基本的な考え方」(委員会取りまとめ資料平成19年5月30日)で論じられている「条例による法令の上書き権を含めた条例制定権の拡大」によって、公益通報者保護法別表第八号の法律を定める政令に列挙されている法律に自治体が条例によって条例を追加できるようにしてほしいな〜と。

で、同法の2条3項1号の「法律として別表に掲げるもの」とか2号の「別表に掲げる法律の規定」とかを「法律又は条例として別表に掲げるもの」とか「別表に掲げる法律又は条例の規定」とかに改正してもらう。

ってのはどうかな〜(。・_・。)ノ



個人的メモ

警察や軍隊といった組織は、内部の構成員と外部とを峻別し、組織と仲間に対する最高度の忠誠心を維持しなければものの役にはたたない本質を持った武装集団であり、この忠誠心と凝集力の強さが仲間内の腐敗を隠蔽し増殖させるメカニズムともなる」(4ページ)

この決定的な重要性を持つ組織共同体が不正を行い、より大きな社会共同体の利益である公益に反するという状況が生じているときに起こるのが真正型の内部告発事件であり、そこには必ず矛盾と葛藤が伴う。二つの共同体の間に挟まれて告発者の帰属意識や忠誠心は分裂して衝突せざるをえず、群れを作ることを本質とする社会的動物としての人間にとって、帰属意識や忠誠心の分裂や相克は根源的な恐怖を呼び起こすことになる。・・・この恐怖感を持つか持たないか、あるいはどのような性格の恐怖感を持つかが、内部告発のタイプを分け、密告と内部告発、内部通報と内部告発を区分する重要なメルクマールの一つとなる。」(8ページ)

通報対象が413の法律に定められた刑罰の対象となる犯罪行為に限られている点、組織内部への通報が優先されている点など公益通報者保護法への批判は少なくない。しかし、内部告発と相当部分で重なるところを持った通報行為に、公益通報という明るい名称を与え、通報された側からの報復として行われる解雇や不利益な取り扱いの禁止を法律で定めたことによるイメージの変化を過小評価するのは間違い」(25ページ)

雇用関係には兼業の禁止、企業秘密の遵守など守るべき各種の義務が付随しており、使用者の指揮命令に従い、そうした義務を守って労務を提供するのが労働者である。組織の内部事情を知るものとして不正の告発に好適な位置を占めるとともに、雇用関係上の各種義務を負うという矛盾した立場にあるからこそ特別な立法が必要とされる」(41ページ)

「今後予想される告発対象―自衛隊・病院・大学・宗教団体」(61ページ)

外部の第三者にとって、真に公益性を備えた内部告発と、悪意からなされる誹謗中傷の類を区別することは至難の業である」(65ページ)

信憑性の高い資料が付いていなければ内部告発は信用されず、そういった資料を集める行為は必ずといってよいほど就業規則違反となり場合によっては刑法にも触れる、という根本的な矛盾が内部告発には付きまとう」(74ページ)

内部告発は、組織の権威や支配の正当性に真っ向から挑戦する行為であり、権威や正当性が崩れることは組織の存立が危機に瀕することを意味する。告発をされた側はこの危機にどう対処すべきか重大な岐路に立たされ、経営陣の真の実力が試されることになる。うろたえて報復に走り、かえって傷を深くする場合もあれば、覚悟をもって踏みとどまり告発された不正の克服と失われた権威の回復に正面から取り組む例もある。」(80ページ)

先日、内部告発者に対する報復人事に対する国賠訴訟で県敗訴の地裁判決が出た愛媛県警なんかは前者の代表例なのかな〜(事件のニュースはコチラを参照→http://www.ebc.co.jp/bangumi/snews/kenkei_fusei/index.html

企業や官庁の悪行から社会の公益を保護するためには、内部告発者を保護するだけでは足りず、報奨金を支払うなどして内部告発を奨励すべきだという主張がある。」(102ページ)
組織構成員として否定的に評価される行為によって報奨金といった金銭利益を受けることは、他の構成員からの否定的な評価をよりいっそう強める方向に作用すると考えるのが自然である。その結果、内部告発者の組織内での立場はより困難なものとなるであろうし、その程度が強ければ組織からの退出を余儀なくされるといった結果につながることにもなる。このような心理連鎖は、内部告発を抑制する方向に作用し、提唱者の意図に反し、報奨金が内部告発に対しマイナス効果をもたらすことにもなる」(106ページ)

したがって、内部告発がもっとも威力を発揮すると思われる巨額の脱税や政治家に対する巨額な違法献金に関する通報は公益通報者保護法の保護対象にならず、公益というネーミングとはチグハグなことになっている。」(163ページ)

ゆゆしき問題は、これらの法令の少なからずが、実際に守りうるものかどうかの厳しい検証を欠いて作られ存在している点にある。法令の少なからずが、守れるかどうかの検証を経ずに存在しているとしたら、公益通報制度にしても企業のコンプライアンスにしても、その基礎を大きく欠いていることになる」(173ページ)
現実との適合について厳しい検証を欠く法律が存在しつづけていることについてもいくつかの説明がなされている。社会に次々と大事件が起こるのはどこの国でも同じだが、この国の世論は熱しやすく、かつ冷めやすいため、熱している状態では、対策として制度・法律を作れの大合唱が起き、にわか仕立ての法律や制度が作られることになる。」(181ページ)

なんとなく、10月3日の日本経済新聞朝刊「建築確認厳格化で住宅着工急減、国交省と業界の認識に溝」で取り上げられている「改正建築基準法による住宅着工急減問題」を連想させる話・・・

義憤産業や義憤家のセンセーショナルな言辞は、一皮剥いてみると最終的にはカタルシスを通じて体制の補完機能という重要な役割を担っているわけであり、物事の本質的な改善には結び付かない」(185ページ)



2002年度以降コピーを取って、あるいは印刷して読んだ論文等

岡山県景観条例の立案経過及び問題点-上- / 遠藤文夫 自治研究. 64(12) [1988.12]

はじめに
一 岡山県景観対策懇談会の経過及び岡山県の景観の現状及び問題点
 一 岡山県の景観の特性
 ニ 代表的な景観阻害事例
  (一) 大規模建築物・工作物
  (ニ) 土砂採取場
  (三) 歴史的景観
  (四) 電柱
  (五) 屋外広告物
  (六) 道路
  (七) 物品の集積
 三 景観の形成・保全についての世論調査結果
ニ 岡山県景観対策懇談会答申の背景及び概要

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
はじめまして、「公務員・内部告発・保護」で検索していたところ、お邪魔しました。
 私は公務員なのですが、実は先日小さな掲示板で組織の不正(上司のサボリ)に警告を与えるような書き込みをしましたが、上司の目に触れ、現在職場内は犯人中探しであります。(掲示板には個人名は一切記載していませんが)
 守秘義務と信用失墜行為の禁止、職務専念と悩みどころでありますが、現在一番の悩みは、自分とバレた時の職場(上司)からの報復です。先にマスコミにリークして味方につけようか・・・と思案したり・・・。
 
はじめまして。
2007/11/08 17:03
 先ほど書き込んだものですが、掲示板の書き込みから個人の特定というものは可能なのでしょうか? 
 可能であれば、上司からの呼び出しも時間の問題なのですが。(冷や汗)
何度もすみません
2007/11/08 17:06

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