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zoom RSS 「集中講義!日本の現代思想」読了

<<   作成日時 : 2007/10/14 00:16   >>

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NHKブックスの「集中講義!日本の現代思想 ポストモダンとは何だったのか」を読み終わりました。

なかなかに、というか、かなり皮肉の利いた感じで記述されていて、そのあたりは好悪が分かれるような気がします。

例えば、文章表現も、逆言法というのか省略法というのかどうか判りませんが、
「マルクスという思想の核を失ってしまった現在の日本のサヨクは、むしろ、いろいろな危険思想の悪影響を受けて、知らない間に「右」のほうへと”転落”していくことを過剰なまでに恐れているように見えるが。」(35ページ)
「戦後の日本では、たいていの思想はマルクス主義と”接続可能”であった―ちゃんと接続していたかどうかはわからないが。」(41ページ)
「廣松の弟子の多くは、廣松物象化論の”深さ”に圧倒され続けて、先にいけなくなった者が多いわけだが。」(76ページ)
「フーコー自身は「狂気」の側ではなく、「理性」の側に立って”書いて”いるのだが。」(130ページ)
「それを、「脱構築」しようとする議論の意味するところが理解されにくいのは、当然であるわけだが。」(133ページ)
「エロティックなシーンを描いた小説を分析する文学研究自体がただちに卑俗だとか軽いと評価されるわけではない―そう単純に考えている人も少なくないが。」(183ページ)
「分析・解説対象(=現代思想家)の生態にフィールドワーク的に接近し、その成果を生の言葉で表現しているように見えなくもなかった―今読み返してみたら、本当に”ただのエッセイ”かもしれないが。」(196ページ)
「それこそが、思想のポストモダン化の最終的な帰結なのかもしれないが。」(232ページ)
「思想家の「スター」化、批判言説の「水戸黄門」化は、右傾化に対するある程度の歯止めになっているといえるかもしれない−私にはとうていそう思えないが。」(235ページ)
「自己の思想的アイデンティティの否定になりかねないことを承知のうえで、こういう言い方をする傾向がある―自己否定をしているという明確な自覚のない者もいるが。」(240ページ)
といったレトリックが多様されていたり^^。

特に、あとがきなんかは、言いたい放題って感じで楽しかったですね〜w

で、本書の内容の概略は序に述べられているのですが、要約は次のとおり。

第T部(第1講と第2講)では、「現代思想」が登場する頃まで日本の戦後思想を牛耳ってきたマルクス主義の変遷と、その残した課題を簡単に振り返る。第U部(第3講と第4講)では、「現代思想」の登場を促した消費資本主義について解説する。第3講では、消費資本主義の台頭が、哲学・思想の布置状況に対して、どのような影響を与えたかを考察し、第4講では、日本における「現代思想」の知的源泉になったフランスを発信地とするポストモダン思想と、消費資本主義との関連を明らかにする。
 以上を経て、第V部(第5講と第6講)で、日本版「現代思想」の特徴を解説する。第5講では、日本の「現代思想」の主要な思想家とその理論の特徴、第6講では、ニュー・アカデミズムとの関連や考察性を叙述することにする。第W部(第7講と第8講)は、ポスト80年代の思想状況がテーマだ。第7講で「現代思想」が流行らなくなった背景を明らかにし、第8講で、「現代思想」が残した”遺産”と、これからの展望について考えることにする。
」(24ページ)

あとは個人的メモ

思想・哲学の領域における「ポストモダニズム」という言葉には通常、@その思想の背景になっている時代・社会状況が、工業化・都市化・労働主体化などという形で進行してきた「近代化」の大枠からズレてきていること、Aその思想自体が、近代哲学・思想の絶対的な中心点とされてきた”自律した理性的な主体としての自我”にもはや依拠しておらず、首尾一貫した理論の構築を放棄していること」(14ページ)

「現代思想」あるいは「ポストモダニズム」ブームの担い手になっていた青土社の雑誌『現代思想』は今でも発行され続けているが、そこで紹介されている中身は往時とはかなり異なり、実態として、”同時代の文化左翼的な思想”になってしまっている。」(19ページ)

今度は若者たちを不安定な立場に置きながら成長を続ける「市場原理主義的な経済」や、そうした過酷な経済状態を温存しようとする「新自由主義的な国家」に対して、怒りの矛先が向くようになる。そのため、かつてのマルクス主義が描いていたような、きわめて単純に二項対立的な「権力/反権力」図式が部分的に復活してきた。雑誌『現代思想』はむしろ、二項対立思考を復活させたい人たちのマニフェストの場と化した観がある」(20-21ページ)

とりあえずココまで。

目次

序 かつて、「現代思想」というものがあった
 「80年代思想」としての現代思想 ”不真面目な”現代思想? 「現代思想」の構成要素 ニュー・アカデミズム―メディアへの積極的進出 なぜ「現代思想」はウケなくなったのか 本講義のねらいと構成

T 空回りしたマルクス主義

第1講 現実離れの戦後マルクス主義
 日本の戦後マルクス主義の特徴 講座派と労農派 拡大するマルクス主義 市民派の空転 誰が”本当の左翼”なのか 批判の泥仕合い 時代錯誤のマルクス主義 能天気な二項対立的図式 マルクス主義が規定する”保守” 戦後日本の論壇の構図 丸山真男の屈折 ”日本的な近代”とマルクス主義

第2講 大衆社会のサヨク思想
 脱マルクス主義化への動き 全共闘運動の特徴 新左翼的な美学の限界 吉本隆明の丸山批判 吉本隆明の立ち位置 大衆はなぜ革命を望まないのか 「共同幻想」の中のサヨクたち 人間的な顔をしたマルクス主義 疎外から物象化へ―廣松渉の戦略 認識の構造を明らかにする 廣松の半ポストモダン性

U 生産から消費へ―「現代思想」の背景

第3講 ポストモダンの社会的条件
 消費という盲点 疎外論へのシフト 『パサージュ論』―マルクス主義的な消費文化論 ファンタスマゴリーの罠 「遊歩者」のまなざし ボードリヤールの予言 記号論的世界観への転回 ボードリヤールの左翼批判 構造主義の可能性 マルクスから消費へ 『なんとなく、クリスタル』が描く消費社会

第4講 近代知の限界―構造主義からポスト構造主義へ
 実存主義とマルクス主義の結合 サルトル対レヴィ=ストロース フーコーのエピステーメー論 近代的人間観の終焉 構造主義は危険な思想? 内なる権力批判 なぜ「生・権力」が注目されたのか 日本におけるフーコー受容 「脱構築」された構造主義 二項対立をめぐる逆説 脱構築の果てに「答え」はあるか 資本主義とエディプス三角形 ドゥールーズ=ガタリのシナリオ

V 八〇年代に何が起きたのか

第5講 日本版「現代思想」の誕生
 フランス現代思想の分散化された受容 大きな物語の終焉 栗本慎一郎の祝祭論 祝祭論からの「金属バット殺人事件」解釈 「パンツをはいたサル」のインパクト 「労働する人間」から「消費する人間」へ 現代思想本、ベストセラーとなる シラケつつノル戦略 「聖」と「遊」の交替運動 「象徴秩序」不在の近代社会 破局を先送りするメカニズム パラノからの逃走 スキゾ・キッズ登場 「パロディー的表現」の可能性? カタカナ業界という受け皿 真っ向勝負回避の戦略 「外部」をめぐる問題点

第6講 「ニュー・アカデミズム」の広がり
 ニュー・アカデミズムの作法 ニュー・アカ学者の受け皿 山口昌男の言論パフォーマンス トリックスターとしての介入 「異人」としての文化人類学者 「生の音」にいかに接近するか 宗教体験を取り入れる―中沢新一の冒険 流体的思考と建築的思考 密教のポスト構造主義的解釈 東大駒場「中沢事件」

W 「現代思想」の左転回

第7講 なぜ「現代思想」は「終焉」したのか
 ポスト80年代の状況 ベタな危機意識の復活 「郵便的不安」とは? アニメ・オタクにみられる「動物化」 若手論客は個別テーマに夢中 「ポストモダン左派」の登場 左転回の様相―敗戦後論争からNAMまで

第8講 カンタン化する「現代思想」
 思想家の「スター」化、批判言説の「水戸黄門」化 鏡像相手の奇妙な思想戦 柄谷行人の自己批判 「ポストモダン化」は幻想ではない マルクスから何を汲み取るべきか?

あとがき



2002年度以降コピーを取って、あるいは印刷して読んだ論文等

行政法解釈のあり方(2) / 阿部泰隆 自治研究. 83(8) (通号 1002) [2007.8]

二 憲法の具体化法としての行政法を実践
 1 裁判を受ける権利の実効性(つづき)
  (七) キャッチ・ボールの違憲性
  (八) 裁判を受ける権利の観点からする実質的合理的解釈の模範例−第二次
納税義務者が主たる納税義務者への課税処分を争えるか、争えるとして、不服申立
期間の起算点
 2 最高裁判例に見る法治主義の軽視
  (一) 教科書検定事件
  (二) 特別永住者公務員管理職資格拒否事件
  (三) 君が代ピアノ伴奏訴訟最判2007=平成19年2月27日
 3 生存権−生活保護受給中における預貯金保有のあり方
 4 道路を壊すと新品で補償させられる−原因者負担金は財産権侵害
 5 自己負罪拒否の特権、二重処罰の禁止の行政法への適用
 6 仮面人間を強制する思想良心の自由の制限−君が代ピアノ伴奏訴訟最判20
07=平成19年2月27日
 7 情報公開の憲法上の根拠?

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