しがない地方公務員のメモ帳

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zoom RSS 「地方債改革の経済学」読了

<<   作成日時 : 2008/01/17 00:04   >>

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地方債改革の経済学」を読み終わりました。

本書は、「国と地方の財政関係をより分権的にするために、必要な改革として、地方債制度に何が求められるか。これが、本書で究極的に問うテーマ」(24ページ)としてものされているものです。

ただ、そのスタンスは、「本書では、わが国の地方債制度において、いま、何が問題で、今後どのように改革すべきかについて、当事者の個別利害を反映したポジショントークに堕することなく、経済学の見地から客観的に考察する」(iii)ってことなんですが、主張は、どちらかと言うと財務省筋の著者だと思うんですが・・・。

まあ、その部分を差し引いて、地方債担当者には必読なんでしょう(たぶん^^)

構成は、第一章で、地方債を巡る全般的な状況、問題について述べ、
第二章で、財政投融資資金との関係、第三章で、地方交付税措置について、第四章で、破綻法制などについて、第五章で、外国の地方債制度について、第六章で、地方債制度を巡る新たな取り組みについて、第七章で、まとめと政策提言、となっています。

政策提言としては、○地方債協議の範囲を財政投融資資金に限定する(民間投資金を外す)。元利償還金の交付税措置の即時廃止。税収の少ない自治体の起債を制限。格付機関の活用。民間による地方債保証の活用。地域別共同発行機関。レベニュー債の位置づけ。債務調整スキームの早期法定化といったことが取り上げられています。

なお、著者のサイトの本書の紹介ページ→http://www.econ.keio.ac.jp/staff/tdoi/localbond.html では、PDF形式の索引がDLできます(といってもあまり分量がありませんが・・・)

で、個人的メモ

多額の地方債を抱え、財政状況が苦しく財源が欲しい自治体、巨額の国債の返済のためには国税収入を維持して補助金を削減したい財務省、地方財政の統制権限を失いたくない総務省、さらには補助金の削減には消極的な所管省庁。「三位一体改革」の具体策は、画期的なことも多かったが、こうした利害対立の渦の中で、必ずしも地方分権の趣旨が貫徹できなかったところもあった。」(19ページ)
四方一両損が駄目なら、どうにも増税しかないような・・・。

目的と手段にも混乱が見られた。税源移譲も市町村合併も、地方の財政的自立・効率化を促すための手段であるはずだが、現在はそれ自体が自己目的化し、交付税の上乗せや合併特例債の発行容認などが国への依存をかえって高めてしまう方向で用いられた。それでは、よりよい地方分権は実現できない。」(21ページ)
まあ、疑似餌ですからね〜。

地方債制度は、地方交付税制度や(起債制限にからんで)地方税制とも深く関連したものである。「三位一体改革」で地方税制や地方交付税制度が改革されたのだから、それと合わせて然るべき地方債制度の改革も同時に行うべきだった。」(22ページ)
確かに、今頃やっと許可制から協議制に移行しているところですし、しかも、実態はほとんど変化がない・・・。相変わらず総務省は細かく指導してくれますから・・・。

地方債の改革は対象外であった「三位一体改革」では、この点は手つかずとなった。このため、三位一体改革に伴い財源が減った自治体で、地方債で当座それを補うという恐れも出ている。ところが、そうした自治体は、地方債をそもそも独自の税収だけで債務返済できる経済力はない。そうなると、中長期的に、地方交付税等を用いた国による救済要求が高まってくることは容易に想像できる。」(23ページ)
いろいろと赤字特例債がありますからね〜、退職手当債、行政改革債、減収補填債・・・、いずれは返済が必要なんですけどどうなるんでしょう^^

こうした状況では、財源が地方税で賄えなければ、国からの補助金のみならず、地方債でも総務省に財源を工面してもらおうという認識が多くの自治体で生まれる。特に、地方部の自治体の地方債は、多くが民間金融機関よりも低利の公的資金で引き受けられており、自治体が最終的には国に財源調達の努力を委ねてしまっているといえよう。」(59ページ以下)
必ずしも公的資金が低利だったわけではないわけで・・・。だから、補償金免除繰上償還なんてことを行っているのでは。

本音では財源があれば公共事業をしたかったが、財源がなかったので十分にできなかったところ、ちょうど国が景気対策を講じることになり財源を確保してくれたから、「国につき合わされた」かたちにして、この機に乗じて実はやりたかった公共事業を実施した、というのが実態であろう。」(66ページ)
さもありなんですが、政治家は最低でも四年に一度選挙があるわけで・・・。そうなるとどうしても公共事業への誘因が働くんでしょうね〜。

自治体は、交付税措置された地方債を自らの債務として認識せず、その分過大に債務を自らの名義で負ってしまい、後になって地方交付税が予想した額より少ない額しかこないことに直面して、いまさらのごとく慌てふためいているところがある。しかし、交付税措置とは、客観的にみて、前述のように、交付税の配分を確約したものではないのだから、自治体が齟齬のある認識を抱いたことによって目下の窮状が生じたとしても、(齟齬が生じるような説明をした国もさることながら)誤解した自治体にも責任があるのは自明である。」(100ページ)
まあ、誰しも何事も人皆自分に都合よくものごとを解釈したい生き物ですからね・・・

元利償還金の交付税措置は、不必要な財政負担を強いることから、経済全体での資源配分に歪みを与え、非効率な仕組みであり望ましくない。別な言い方をすれば、同じだけの財政負担ですむなら、元利償還金の交付税措置ではなく一括固定の補助金で配る方が、より効用を高めることができるのである。」(106ページ)
理論的なところ(机上の空論?)だけを見ればそのとおりなんでしょうが・・・。ただ、個人的には元利償還金はやはり、やめた方が良いですよね・・。先食いしすぎるのはね〜。

わが国における地方債の国による「暗黙の保証」の三要素、すなわち地方債の元利償還に要する財源の確保、地方債許可制度、地方財政再建制度は、何の改革もなく現状のままで機能が今後強化されることはなく、このままでは維持不可能な仕組みだということである。」(172ページ)
とはいえ、これ以上地方に我慢を強いることが政治的に可能とも思えんが・・・

自治体の債務免除も含んだ債務調整については、この研究会では結論に至らなかった。その背景には、総務省内部での消極論とともに、財政投融資との関係があろう。・・・その現状で、債務調整ということは、民間金融機関の資金についての債務調整というより、財政投融資資金についての債務調整ということともなる。この研究会は総務省の研究会であり、財務省が所管する財政投融資について、その根幹に関わる部分に深く立ち入った提言を取りまとめるには限界があったと推察される。」(245ページ)
まあ、国(財務省)が貸し手責任を問われることになるんでしょうから(笑)

実質公債費比率により起債許可・制限の基準で、なぜ18%になったのか。この数値を経済学的に裏付ける明確な根拠は存在しない。地方債制度の進展の先頭を行く東京都が、地方債協議制度以降(ママ)後もなお起債許可を受ける立場になることを避けるためにそうした数値にした、とうがって見られても仕方がない数値である」(250ページ以下)
(笑) ちょっと謎が解けました・・。あながち「ない」話でもないんでしょうね〜


目次
第1章 地方財政の危機−なぜ地方債はこんなに増えたか−
1.景気対策で増えた地方債
2.中央集権的な地方財政の仕組み
3.自治体は国の許可がなければ借金できない
4.「三位一体改革」で取りこぼされた地方債
5.本書のスタンス
第2章 地方債は地方に何をもたらしたか
1.財政投融資と地方債の密接な関係
2.地方債を増発することで誘発された公共事業
3.世界に類を見ないほどの地方債務
第3章 借り手意識を持たない地方債の構造
1.借金返済まで面倒を見る地方交付税
2.国による「暗黙の保証」
3.地方交付税が助長した地方債累増
4.早期是正が利かない地方財政
第4章 自治体は破綻しないのか
1.「夕張ショック」は何を意味するか
2.自治体の時限爆弾:第三セクター・地方公社
3.「暗黙の保証」は早晩もたなくなる
第5章 諸外国に学ぶ:地方債の比較制度分析
1.諸外国の地方債制度
2.アメリカに学ぶべき点
3.フランスに学ぶべき点
4.日本に何が足らないか
第6章 地方債制度の新たな動き
1.市場化、共同発行
2.地方債市場の多様化
3.地方財政再生制度の模索
第7章 今後の地方債改革に向けて−政策提言−
1.本書のまとめ
2.改革論議の前提
3.政策提言



2002年度以降コピーを取って、あるいは印刷して読んだ論文等

公訴時効制度の歴史的考察 / 原田 和往 早稲田法学会誌. 54 [2004]

はじめに
第一章 現行刑事訴訟法前の公訴時効制度
第一節 治罪法
(一) 規定
(二) 公訴の期満免除制度を設けた理由
(三) 公訴期満免除の期間
(四) 期満免除の中断
第二節 明治刑事訴訟法
(一) 規定
(二) 公訴時効制度を設けた理由
(三) 公訴時効の期間
(四) 公訴時効の中断
第三節 大正刑事訴訟法
(一) 規定
(二) 公訴時効を設けた理由
(三) 公訴時効の期間
(四) 公訴時効の中断
(五) 公訴時効の停止
第二章 昭和二八年の刑事訴訟法一部改正前の公訴時効制度
第一節 現行刑事訴訟法の制定過程
(一) 政府案の変遷
(二) 刑事訴訟法改正協議会における公訴時効制度に関する議論
第二節 昭和二八年(一九五三年)一部改正までの公訴時効学説
(一) 公訴時効制度を設けた理由
(二) 公訴時効の期間
(三) 公訴時効の停止制度
第三章 現在の公訴時効制度の成立
第一節 昭和二八年の刑事訴訟法一部改正の過程
(一) 改正の契機
(二) 改正の経緯
第二節 昭和二八年の刑事訴訟法一部改正以後の学説

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