事務委託した場合の行政不服審査法の適用

実は以前から悩んでいて、未だに良くわからないことがあるのですが、自治法第252条の14以下の規定により事務委託した場合の行政不服審査法の適用はどうなるのでしょうか?

一応、個人的には以下のように整理しているのですが、特に「法定受託事務であって、かつ、個別法に特別の定めがない場合」の審査請求の流れが良くわかりません・・・(私の理解力が足りないだけかもしれませんが(T_T))。

1 個別法に特別の定めがある場合(例:生活保護法)

          大       臣           
           ↑再審査請求(生活保護法66条)
          知        事           
↓(事務委託)                    ↑
市町村長,一部事務組合の管理者等      ↑審査請求(生活保護法64条) 
↓(委任)                       ↑
福  祉  事  務  所  長 などの行政庁
↓(処分)                       ↑
    不    服     申    立    人    


生活保護法
(町村の一部事務組合等)
第八十二条  町村が一部事務組合又は広域連合を設けて福祉事務所を設置した場合には、この法律の適用については、その一部事務組合又は広域連合を福祉事務所を設置する町村とみなし、その一部事務組合の管理者又は広域連合の長を福祉事務所を管理する町村長とみなす。
(審査庁)
第六十四条  第十九条第四項の規定により市町村長が保護の決定及び実施に関する事務の全部又は一部をその管理に属する行政庁に委任した場合における当該事務に関する処分についての審査請求は、都道府県知事に対してするものとする。
(再審査請求)
第六十六条  市町村長がした保護の決定及び実施に関する処分又は市町村長の管理に属する行政庁が第十九条第四項の規定による委任に基づいてした処分に係る審査請求についての都道府県知事の裁決に不服がある者は、厚生労働大臣に対して再審査請求をすることができる。



2 自治事務であって、かつ、個別法に特別の定めがない場合


          知       事           
↓(事務委託)
 市 町 村 長,一 部 事 務 組 合 の 管 理 者 等
↓(処分)                      ↑異議申立て(行服法6条)
    不    服     申    立    人    


          知       事           
↓(事務委託)                    
 市 町 村 長,一 部 事 務 組 合 の 管 理 者 等
↓(委任)                          ↑
福  祉  事  務  所  長  な ど の行政庁 ↑審査請求(行服法5条)
↓(処分)                          ↑
    不    服     申    立    人    

①事務委託によっては知事が、市町村長、一部事務組合の管理者等の上級行政庁とはならないことから、異議申立てとなる。

②これに対し、市町村長、一部事務組合の管理者等は福祉事務所長に対し指揮監督権限を有するので上級行政庁・下級行政庁の関係に立つことから、市町村長、一部事務組合の管理者等への審査請求ができる。

行政不服審査法
(処分についての審査請求)
第五条  行政庁の処分についての審査請求は、次の場合にすることができる。
一  処分庁に上級行政庁があるとき。ただし、処分庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長であるときを除く。
二  前号に該当しない場合であつて、法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に審査請求をすることができる旨の定めがあるとき。
2  前項の審査請求は、同項第一号の場合にあつては、法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に特別の定めがある場合を除くほか、処分庁の直近上級行政庁に、同項第二号の場合にあつては、当該法律又は条例に定める行政庁に対してするものとする。
(処分についての異議申立て)
第六条  行政庁の処分についての異議申立ては、次の場合にすることができる。
ただし、第一号又は第二号の場合において、当該処分について審査請求をすることができるときは、法律に特別の定めがある場合を除くほか、することができない。
一  処分庁に上級行政庁がないとき。
二  処分庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長であるとき。
三  前二号に該当しない場合であつて、法律に異議申立てをすることができる旨の定めがあるとき。



3 法定受託事務であって、かつ、個別法に特別の定めがない場合

①事務委託の受託者が下級庁などに委任しなかった場合
          大       臣                
                                  ↑
          知       事              ↑再審査請求(行服法8条①2号)
↓(事務委託)                  ↑      ↑
市町村長、一部事務組合の管理者等    ↑審査請求(行服法5条①2号)
↓(処分)                     ↑      ↑
    不    服     申    立    人         

地方自治法255条の2の規定により、行政不服審査法5条①2号に該当するため,地方自治法255条の2第2号により知事に対して審査請求ができる。
また、地方自治法255条の2の規定により行政不服審査法8条①2号に規定する「審査請求をすることができる処分」に該当するため、大臣に対する再審査請求ができる。


地方自治法
第二百五十五条の二  他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、法定受託事務に係る処分又は不作為に不服のある者は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める者に対して、行政不服審査法 による審査請求をすることができる。
一  都道府県知事その他の都道府県の執行機関の処分又は不作為 当該処分又は不作為に係る事務を規定する法律又はこれに基づく政令を所管する各大臣
二  市町村長その他の市町村の執行機関(教育委員会及び選挙管理委員会を除く。)の処分又は不作為 都道府県知事
三  市町村教育委員会の処分又は不作為 都道府県教育委員会
四  市町村選挙管理委員会の処分又は不作為 都道府県選挙管理委員会


行政不服審査法
(処分についての審査請求)
第五条  行政庁の処分についての審査請求は、次の場合にすることができる。
一  処分庁に上級行政庁があるとき。ただし、処分庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長であるときを除く。
二  前号に該当しない場合であつて、法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に審査請求をすることができる旨の定めがあるとき。
(再審査請求)
第八条  次の場合には、処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができる。
一  法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に再審査請求をすることができる旨の定めがあるとき。
二  審査請求をすることができる処分につき、その処分をする権限を有する行政庁(以下「原権限庁」という。)がその権限を他に委任した場合において、委任を
受けた行政庁がその委任に基づいてした処分に係る審査請求につき、原権限庁が審査庁として裁決をしたとき。


②事務委託の受託者が下級庁などに委任した場合
          大       臣                        
                       再々審査請求(行服法8条③)↑
          知       事                      ↑
↓(事務委託)                          ↑     ↑
市 町 村 長、一 部 事 務 組 合 の 管 理者等 ↑     ↑
↓(委任)                        ↑   ↑再審査請求(行服法8条①2号)
福  祉  事  務  所  長  などの行政庁 ↑   ↑      ↑
↓(処分)      審査請求(行服法5条①2号)↑    ↑      ↑
      不      服      申      立      人          
    

行政不服審査法8条①2号の規定により、同法8条③に規定する「再審査請求をすることができる処分」に該当することから、同項の規定により大臣に再々審査請求ができる。

行政不服審査法
(再審査請求)
第八条  
3  再審査請求をすることができる処分につき、その原権限庁がその権限を他に委任した場合において、委任を受けた行政庁がその委任に基づいてした処分に係る再審査請求につき、原権限庁が自ら当該処分をしたものとした場合におけるその処分に係る審査請求についての審査庁が再審査庁としてした裁決に不服がある者は、さらに再審査請求をすることができる。この場合においては、当該原権限庁が自ら当該処分をしたものとした場合におけるその処分に係る再審査請求についての再審査庁に対して、その請求をするものとする。


上記の3が都道府県から市町村へ事務を委託した場合の整理なのですが、反対に市町村から都道府県へ事務を委託したときは次のようになる。

法定受託事務であって、かつ、個別法に特別の定めがない場合

①事務委託の受託者が委任しなかった場合
          大       臣                
                                  ↑
         市  町  村  長             ↑
↓(事務委託)                         ↑審査請求(行服法5条①2号)
            知     事              ↑
↓(処分)                            ↑
    不    服     申    立    人         

地方自治法255条の2第2号により大臣に対して審査請求ができる。

②事務委託の受託者が委任した場合
          大       臣                      
                                  ↑
          市   町   村   長         
↓(事務委託)                         ↑
        知         事              ↑
↓(委任)                       ↑    ↑再審査請求(行服法8条①2号)
福  祉  事  務  所 長など の行政庁 ↑    ↑
↓(処分)    審査請求(行服法5条①2号)↑    ↑
      不      服      申      立      人  

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