「地方分権改革推進委員会を巡る動き」その2
2.地方分権改革推進法前夜
2006年7月3日
総務省(竹中総務大臣の私的諮問機関)「地方分権21世紀ビジョン懇談会 」報告書
構成員
猪瀬直樹 作家
大田弘子 政策研究大学院大学教授 (座長)
小早川光郎 東京大学大学院法学政治学研究科教授
島田晴雄 慶應義塾大学経済学部教授
本間正明 大阪大学大学院経済学研究科教授
宮脇淳 北海道大学大学院公共政策学連携研究部教授
以下のような内容の分権改革を、「自由、責任、自立」をキーワードにした新三位一体改革として、今年度より開始すべきである。その際、重要なことは、税源配分の見直し、国庫補助負担金改革、交付税改革を一体として実施していくことである。
(1)新分権一括法の提出
国と地方の権限と責任を根本から見直し、国と地方の関係を「複雑重層から単純明快へ」と転換する必要がある。国の規制・関与や国庫補助負担金の廃止・縮小を大胆に進めて地方の自由度を拡大するとともに、「自治事務の執行基準は原則として条例で決める」という基本方針で、国と地方の権限と責任を再整理すべきである。
そのため、新分権一括法を早期に制定して、自治事務の執行基準を原則として条例で定め、変更できるようにする仕組みを整えるべきである。その際、権限と財源の関係の明確化も必要である。新分権一括法案について、第29次地方制度調査会等において今秋までに検討を開始し、地方の意見も踏まえつつ2年を目途に結論を得て、3年以内に提出すべきである。
(2)地方債の完全自由化
① 公募地方債の発行条件の統一交渉の即時全廃
② 公営企業金融公庫の廃止後の資本市場を活用した新たな枠組み
③ 地方債の多様化
④ 地方債に対する交付税措置の廃止
(3)いわゆる“再生型破綻法制”の整備
(4)税源配分の見直し
(5)交付税改革
① 新型交付税の導入
② 真に配慮を要する自治体への対応
③ 不交付団体の拡大
(6)国庫補助負担金改革
(7)地方の歳出削減、歳入面での検討
① 地方の歳出削減
② 歳入面での検討
(8)地方行革
① 情報開示の徹底、住民監視(ガバナンス)の強化
② 地方公会計改革(地方の資産・債務管理改革)
③ 地方公務員総人件費改革
④ 地方における市場化テストの促進
(9)道州制、市町村合併、都道府県と市町村の関係の見直し
① 道州制
第28次地方制度調査会の答申(本年2月28日)を踏まえ、10年後の姿として、道州制への移行の検討を含め本格的な地方分権を目指すべきである。
② 市町村合併
自立できる体力ある自治体を増やすという観点から、現在約1,800となった市町村の合併をさらに推進すべきである。
③ 都道府県と市町村の関係の見直し
都道府県(道州)から市町村への権限、税財源の移譲を推進する必要がある。
※猪瀬直樹、小早川光郎は地方分権改革推進委員会の委員に、宮脇淳は事務局長に・・・。宮脇氏の事務局長就任の件については後ほど。
この点からもこの報告書は注目。なお小早川氏は、地方分権改革推進法の衆議院総務委員会における参考人にもなっている。
※大田弘子氏は、現政権の経済財政政策担当大臣
平成18年11月30日
「新地方分権構想検討委員会」
「地方自治確立対策協議会」(地方六団体で組織)の要請に基づき設置
委員名簿
委 員 長 神野直彦 東京大学大学院経済学研究科教授
委員長代理 小幡純子 上智大学教授
青山彰久 読売新聞東京本社解説部次長
赤崎義則 鹿児島市社会福祉協議会会長(前鹿児島市長)
池田佳隆 (社)日本青年会議所会頭
井上義國 関西分権改革推進協議会 広域連合検討委員会座長 (社)関西経済連合会常任理事
大森 彌 東京大学名誉教授
北川正恭 早稲田大学大学院公共経営研究科教授
木村陽子 地方財政審議会委員
工藤泰志 特定非営利活動法人 言論NPO代表
小西砂千夫 関西学院大学教授
堺屋太一 作家・元経済企画庁長官
榊原英資 早稲田大学教授
坪井ゆづる 朝日新聞社論説委員
宮脇 淳 北海道大学公共政策大学院院長
山下 茂 明治大学大学院ガバナンス研究科教授
平成18年5月11日
地方六団体分権型社会のビジョン(中間報告)
今回まとめた「中間報告」は、地方分権の基本的な視点とあわせて、その重要な基盤の1つになる税財政改革についての提言である。政府が平成18年(2006年)6月に策定する予定の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」(骨太の方針2006)4において、国と地方の税財政改革の方向を改めて示すことが予想されるため、日本の分権改革に重大な関心を寄せる本委員会として、長期的にみた全体像を描くのに先立ち、目指すべき税財政改革の考え方とそのための7つの提言を緊急に取りまとめた。
平成18年11月30日
分権型社会のビジョン(最終報告)
新たな分権推進法に基づいて進められる今後3年間の課題を考えると、最も重点を置かなければならないのは、地方分権推進委員会が示した6つの課題のうち、(1)に相当する「税源移譲の推進、補助金の廃止、地方交付税制度の再構築」と、(2)に相当する「自治体の仕事に対する義務付けや枠付けの緩和」である。 いずれの課題も、先の「三位一体の改革」で着手されながら中途で終わった。
いま必要な地方分権改革は、現行の市町村・都道府県制度の下で確実に権限と財源の移譲を進めるものでなければならない。むしろ、こうした地方分権改革が不十分なまま道州制に移行すれば、道州を国の出先機関にしかねず、これまで積み重ねてきた地方分権改革の動きに逆行し、分権型社会にふさわしい道州制にはほど遠いものになるおそれがある。道州制の議論は、現在の地方分権改革とは独立して行い、その実現も第二期地方分権改革を終えた後の課題にすることが適切である。
(3)地方の自立のための行政面での地方分権改革
① 国と地方の二重行政の解消と国の地方支分部局の整理
② 国の義務付け・枠付け・関与の廃止・縮小~条例制定権の拡大・法令の規律密度の緩和
③ 国と地方の役割分担の一層の明確化と権限の移譲
今後3年間の第二期地方分権改革においては、全ての事務事業について国と地方の役割分担を一から見直すのではなく、まずは「国と地方の二重行政の解消」と「国税:地方税=5:5とするための税源移譲」を行うにあたって必要な「国と地方の役割分担」と「国と地方の財政負担」の明確化を行うべきである。そして、その役割分担と財政負担のあり方に基づいて、事務事業と権限と財源を国から地方に移譲すべきである。
その際、地方自治法で規定されている国と地方の役割分担にもかかわらず、現実の各省庁の法令・告示の多くが、この地方自治法の規定に則っておらず、従来の通達のような細かな関与が依然として行われていることから、これを地方自治法の原理・原則にあわせて、修正する必要がある。
特に、河川・道路など公共事業関係については、国が責任を持つべき道路の範囲を高速自動車国道及び中枢的ネットワークに係る道路に限定し、河川についても、国が責任を持つべき河川の範囲を複数の都府県にまたがり全国的な視点から利害調整の必要なものに限定するなど、各事業についての国と地方の役割分担を再整理すべきであり、さらに進めれば、複数都府県にまたがる河川は都府県の広域連合が担うこととすべきである。
国から地方へ権限を移譲する際には、同時に都道府県と市町村の間の役割分担も再構築する必要がある。
地方自治を保障し、地方分権改革を進める観点から、市町村を適切に補完し、国と市町村との中間・クッションとしての役割を果たす広域自治体として都道府県は必要である。
一方、都道府県と市町村の役割については、福祉・教育等多くの分野で重複・混在が見られ、二重行政による無駄が生じ、特に、国の意向を受けた関与の結果、市町村の主体的な施策推進を損ねている例が見受けられる。
都道府県の役割は、高度なインフラの整備、経済産業活動の活性化、雇用対策、国土の保全、環境の保全等の広域的機能や市町村間の調整機能、一定の小規模な市町村の機能を代替することとする場合の機能に重点化するべきである。
福祉・教育などの住民に身近な行政については、高度な専門的知識や技術を先導的に導入する局面において、都道府県の役割は引き続き重要であるが、補完性の原理に基づき、都道府県から市町村への事務・権限の移譲を進めるとともに、高度な専門的知識や技術を持った市町村職員を育成することにより、市町村が自立的に担っていくことができるよう都道府県と市町村の関係も改革する必要がある。
※ここにも宮脇氏^^。神野(財政学の第一人者?)、大森(第一次地方分権改革でも活躍)、北川(言わずと知れた元三重県知事)、小西(地方財政関係で今一番旬?)、堺屋(コメント不要でしょ)、榊原(ミスター円)の強力メンバー
※ほぼこの二つの報告で今回の地方分権改革推進委員会のテーマへのレールは引かれたようなものか。
平成18年7月26日
真の地方分権改革の実現に向けた指定都市のアピール
≪アピール要旨≫
<地方分権改革の確実な実現>
○ 国庫補助負担金改革については、具体的な工程、税源移譲額を示した上で、まずは、指定都市が提案した「廃止すべき国庫補助負担金」の未実施分について早急に実施し、税源移譲を確実に実現すること。
○ 地方交付税については、地方交付税総額が現行の法定率でも不足している状況に鑑み、国・地方を通じた歳出削減によってもなお生じる通常収支不足は、法定率の引上げによって解消すること。また、税源移譲を伴わない一方的な削減は行わないこと。
○ これらの見直しを一体的に行い、地方分権改革を確実に実現すること。
<分権型社会にふさわしい大都市制度の早期創設>
○ 真の地方分権型社会にふさわしい新たな地方自治制度構築の先駆けとして、地方分権をめざした関係法令の一括した見直しにあたっては、50年前に「暫定的な措置」として創設された現行の指定都市制度を抜本的に見直し、真に国、広域自治体の担うべき事務以外のすべての事務を指定都市が一元的・総合的に実施するとともに、その役割分担に見合う自主財源が制度的に保障新たな大都市制度の早期創設を含めた法整備を行うこと。
※市長会ではなくて指定都市独自でのアピール?
平成18年9月15日
「「地方分権改革推進法(仮称)」の早期制定について」地方六団体
これまでの改革においては、国と地方の役割分担は整理されておらず、依然として国と地方の二重行政による大きな無駄がある。
役割分担に基づく事務事業・権限の移譲、国による関与・義務づけの廃止・縮小のほか、税財源の移譲と国庫補助負担金の原則廃止などの改革が不可欠
「地方分権改革推進法」骨子案
平成18年10月
「「地方分権改革推進法」に関する緊急提言」福井県自治体代表者会議
1 新たな地方分権改革に1日も早く着手するため、速やかに「地方分権改革推進法」を制定すること。
2 地方分権改革推進委員会の委員の選任に当たっては、地方の代表者を含めること。また、地方分権改革推進計画については、検討の段階から地方の参画のもとに作成すること。
3 権限の移譲と同時に、国と地方の税制を抜本的に見直し、地方税財源の充実確保を行うこと。その際、地方間の税源格差の是正を図ること。 また、地方交付税については、地方固有の財源であることを明らかにするため、「地方共有税(仮称)」制度に改めること。
※この時期、同様の動きが各県で開催か?
2002年度以降コピーを取って、あるいは印刷して読んだ論文等
地方単独事業と財政支援措置--都道府県における道路事業を中心に / 宮崎雅人 都市問題. 95(7) [2004.7]
はじめに
1 先行研究
2 道路関連単独事業の増加と減少の要因分析
(1) 単独事業の内容の変化
1) 箱物関連単独事業の減少と道路関連単独事業の増加
2) 道路関連単独事業の増加要因
(2) 臨道債起債要因のパネル分析
1) パネルデータを用いた分析
2) モデル
3) 推定結果
(3) 道路関連単独事業・臨道債・地方道路特定財源の関係
1) 道路関連単独事業と臨道債の関係
2) 道路関連単独事業と地方道路特定財源の関係
2006年7月3日
総務省(竹中総務大臣の私的諮問機関)「地方分権21世紀ビジョン懇談会 」報告書
構成員
猪瀬直樹 作家
大田弘子 政策研究大学院大学教授 (座長)
小早川光郎 東京大学大学院法学政治学研究科教授
島田晴雄 慶應義塾大学経済学部教授
本間正明 大阪大学大学院経済学研究科教授
宮脇淳 北海道大学大学院公共政策学連携研究部教授
以下のような内容の分権改革を、「自由、責任、自立」をキーワードにした新三位一体改革として、今年度より開始すべきである。その際、重要なことは、税源配分の見直し、国庫補助負担金改革、交付税改革を一体として実施していくことである。
(1)新分権一括法の提出
国と地方の権限と責任を根本から見直し、国と地方の関係を「複雑重層から単純明快へ」と転換する必要がある。国の規制・関与や国庫補助負担金の廃止・縮小を大胆に進めて地方の自由度を拡大するとともに、「自治事務の執行基準は原則として条例で決める」という基本方針で、国と地方の権限と責任を再整理すべきである。
そのため、新分権一括法を早期に制定して、自治事務の執行基準を原則として条例で定め、変更できるようにする仕組みを整えるべきである。その際、権限と財源の関係の明確化も必要である。新分権一括法案について、第29次地方制度調査会等において今秋までに検討を開始し、地方の意見も踏まえつつ2年を目途に結論を得て、3年以内に提出すべきである。
(2)地方債の完全自由化
① 公募地方債の発行条件の統一交渉の即時全廃
② 公営企業金融公庫の廃止後の資本市場を活用した新たな枠組み
③ 地方債の多様化
④ 地方債に対する交付税措置の廃止
(3)いわゆる“再生型破綻法制”の整備
(4)税源配分の見直し
(5)交付税改革
① 新型交付税の導入
② 真に配慮を要する自治体への対応
③ 不交付団体の拡大
(6)国庫補助負担金改革
(7)地方の歳出削減、歳入面での検討
① 地方の歳出削減
② 歳入面での検討
(8)地方行革
① 情報開示の徹底、住民監視(ガバナンス)の強化
② 地方公会計改革(地方の資産・債務管理改革)
③ 地方公務員総人件費改革
④ 地方における市場化テストの促進
(9)道州制、市町村合併、都道府県と市町村の関係の見直し
① 道州制
第28次地方制度調査会の答申(本年2月28日)を踏まえ、10年後の姿として、道州制への移行の検討を含め本格的な地方分権を目指すべきである。
② 市町村合併
自立できる体力ある自治体を増やすという観点から、現在約1,800となった市町村の合併をさらに推進すべきである。
③ 都道府県と市町村の関係の見直し
都道府県(道州)から市町村への権限、税財源の移譲を推進する必要がある。
※猪瀬直樹、小早川光郎は地方分権改革推進委員会の委員に、宮脇淳は事務局長に・・・。宮脇氏の事務局長就任の件については後ほど。
この点からもこの報告書は注目。なお小早川氏は、地方分権改革推進法の衆議院総務委員会における参考人にもなっている。
※大田弘子氏は、現政権の経済財政政策担当大臣
平成18年11月30日
「新地方分権構想検討委員会」
「地方自治確立対策協議会」(地方六団体で組織)の要請に基づき設置
委員名簿
委 員 長 神野直彦 東京大学大学院経済学研究科教授
委員長代理 小幡純子 上智大学教授
青山彰久 読売新聞東京本社解説部次長
赤崎義則 鹿児島市社会福祉協議会会長(前鹿児島市長)
池田佳隆 (社)日本青年会議所会頭
井上義國 関西分権改革推進協議会 広域連合検討委員会座長 (社)関西経済連合会常任理事
大森 彌 東京大学名誉教授
北川正恭 早稲田大学大学院公共経営研究科教授
木村陽子 地方財政審議会委員
工藤泰志 特定非営利活動法人 言論NPO代表
小西砂千夫 関西学院大学教授
堺屋太一 作家・元経済企画庁長官
榊原英資 早稲田大学教授
坪井ゆづる 朝日新聞社論説委員
宮脇 淳 北海道大学公共政策大学院院長
山下 茂 明治大学大学院ガバナンス研究科教授
平成18年5月11日
地方六団体分権型社会のビジョン(中間報告)
今回まとめた「中間報告」は、地方分権の基本的な視点とあわせて、その重要な基盤の1つになる税財政改革についての提言である。政府が平成18年(2006年)6月に策定する予定の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」(骨太の方針2006)4において、国と地方の税財政改革の方向を改めて示すことが予想されるため、日本の分権改革に重大な関心を寄せる本委員会として、長期的にみた全体像を描くのに先立ち、目指すべき税財政改革の考え方とそのための7つの提言を緊急に取りまとめた。
平成18年11月30日
分権型社会のビジョン(最終報告)
新たな分権推進法に基づいて進められる今後3年間の課題を考えると、最も重点を置かなければならないのは、地方分権推進委員会が示した6つの課題のうち、(1)に相当する「税源移譲の推進、補助金の廃止、地方交付税制度の再構築」と、(2)に相当する「自治体の仕事に対する義務付けや枠付けの緩和」である。 いずれの課題も、先の「三位一体の改革」で着手されながら中途で終わった。
いま必要な地方分権改革は、現行の市町村・都道府県制度の下で確実に権限と財源の移譲を進めるものでなければならない。むしろ、こうした地方分権改革が不十分なまま道州制に移行すれば、道州を国の出先機関にしかねず、これまで積み重ねてきた地方分権改革の動きに逆行し、分権型社会にふさわしい道州制にはほど遠いものになるおそれがある。道州制の議論は、現在の地方分権改革とは独立して行い、その実現も第二期地方分権改革を終えた後の課題にすることが適切である。
(3)地方の自立のための行政面での地方分権改革
① 国と地方の二重行政の解消と国の地方支分部局の整理
② 国の義務付け・枠付け・関与の廃止・縮小~条例制定権の拡大・法令の規律密度の緩和
③ 国と地方の役割分担の一層の明確化と権限の移譲
今後3年間の第二期地方分権改革においては、全ての事務事業について国と地方の役割分担を一から見直すのではなく、まずは「国と地方の二重行政の解消」と「国税:地方税=5:5とするための税源移譲」を行うにあたって必要な「国と地方の役割分担」と「国と地方の財政負担」の明確化を行うべきである。そして、その役割分担と財政負担のあり方に基づいて、事務事業と権限と財源を国から地方に移譲すべきである。
その際、地方自治法で規定されている国と地方の役割分担にもかかわらず、現実の各省庁の法令・告示の多くが、この地方自治法の規定に則っておらず、従来の通達のような細かな関与が依然として行われていることから、これを地方自治法の原理・原則にあわせて、修正する必要がある。
特に、河川・道路など公共事業関係については、国が責任を持つべき道路の範囲を高速自動車国道及び中枢的ネットワークに係る道路に限定し、河川についても、国が責任を持つべき河川の範囲を複数の都府県にまたがり全国的な視点から利害調整の必要なものに限定するなど、各事業についての国と地方の役割分担を再整理すべきであり、さらに進めれば、複数都府県にまたがる河川は都府県の広域連合が担うこととすべきである。
国から地方へ権限を移譲する際には、同時に都道府県と市町村の間の役割分担も再構築する必要がある。
地方自治を保障し、地方分権改革を進める観点から、市町村を適切に補完し、国と市町村との中間・クッションとしての役割を果たす広域自治体として都道府県は必要である。
一方、都道府県と市町村の役割については、福祉・教育等多くの分野で重複・混在が見られ、二重行政による無駄が生じ、特に、国の意向を受けた関与の結果、市町村の主体的な施策推進を損ねている例が見受けられる。
都道府県の役割は、高度なインフラの整備、経済産業活動の活性化、雇用対策、国土の保全、環境の保全等の広域的機能や市町村間の調整機能、一定の小規模な市町村の機能を代替することとする場合の機能に重点化するべきである。
福祉・教育などの住民に身近な行政については、高度な専門的知識や技術を先導的に導入する局面において、都道府県の役割は引き続き重要であるが、補完性の原理に基づき、都道府県から市町村への事務・権限の移譲を進めるとともに、高度な専門的知識や技術を持った市町村職員を育成することにより、市町村が自立的に担っていくことができるよう都道府県と市町村の関係も改革する必要がある。
※ここにも宮脇氏^^。神野(財政学の第一人者?)、大森(第一次地方分権改革でも活躍)、北川(言わずと知れた元三重県知事)、小西(地方財政関係で今一番旬?)、堺屋(コメント不要でしょ)、榊原(ミスター円)の強力メンバー
※ほぼこの二つの報告で今回の地方分権改革推進委員会のテーマへのレールは引かれたようなものか。
平成18年7月26日
真の地方分権改革の実現に向けた指定都市のアピール
≪アピール要旨≫
<地方分権改革の確実な実現>
○ 国庫補助負担金改革については、具体的な工程、税源移譲額を示した上で、まずは、指定都市が提案した「廃止すべき国庫補助負担金」の未実施分について早急に実施し、税源移譲を確実に実現すること。
○ 地方交付税については、地方交付税総額が現行の法定率でも不足している状況に鑑み、国・地方を通じた歳出削減によってもなお生じる通常収支不足は、法定率の引上げによって解消すること。また、税源移譲を伴わない一方的な削減は行わないこと。
○ これらの見直しを一体的に行い、地方分権改革を確実に実現すること。
<分権型社会にふさわしい大都市制度の早期創設>
○ 真の地方分権型社会にふさわしい新たな地方自治制度構築の先駆けとして、地方分権をめざした関係法令の一括した見直しにあたっては、50年前に「暫定的な措置」として創設された現行の指定都市制度を抜本的に見直し、真に国、広域自治体の担うべき事務以外のすべての事務を指定都市が一元的・総合的に実施するとともに、その役割分担に見合う自主財源が制度的に保障新たな大都市制度の早期創設を含めた法整備を行うこと。
※市長会ではなくて指定都市独自でのアピール?
平成18年9月15日
「「地方分権改革推進法(仮称)」の早期制定について」地方六団体
これまでの改革においては、国と地方の役割分担は整理されておらず、依然として国と地方の二重行政による大きな無駄がある。
役割分担に基づく事務事業・権限の移譲、国による関与・義務づけの廃止・縮小のほか、税財源の移譲と国庫補助負担金の原則廃止などの改革が不可欠
「地方分権改革推進法」骨子案
平成18年10月
「「地方分権改革推進法」に関する緊急提言」福井県自治体代表者会議
1 新たな地方分権改革に1日も早く着手するため、速やかに「地方分権改革推進法」を制定すること。
2 地方分権改革推進委員会の委員の選任に当たっては、地方の代表者を含めること。また、地方分権改革推進計画については、検討の段階から地方の参画のもとに作成すること。
3 権限の移譲と同時に、国と地方の税制を抜本的に見直し、地方税財源の充実確保を行うこと。その際、地方間の税源格差の是正を図ること。 また、地方交付税については、地方固有の財源であることを明らかにするため、「地方共有税(仮称)」制度に改めること。
※この時期、同様の動きが各県で開催か?
2002年度以降コピーを取って、あるいは印刷して読んだ論文等
地方単独事業と財政支援措置--都道府県における道路事業を中心に / 宮崎雅人 都市問題. 95(7) [2004.7]
はじめに
1 先行研究
2 道路関連単独事業の増加と減少の要因分析
(1) 単独事業の内容の変化
1) 箱物関連単独事業の減少と道路関連単独事業の増加
2) 道路関連単独事業の増加要因
(2) 臨道債起債要因のパネル分析
1) パネルデータを用いた分析
2) モデル
3) 推定結果
(3) 道路関連単独事業・臨道債・地方道路特定財源の関係
1) 道路関連単独事業と臨道債の関係
2) 道路関連単独事業と地方道路特定財源の関係
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